COPD(慢性閉塞性肺疾患)に対する鍼灸治療の効果
- 鍼灸 前倉
- 5 日前
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COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、長期の喫煙や大気汚染などによって肺がダメージを受け、息切れ・咳・痰が続く病気です。進行していくにつれ、少しの動作でも苦しくなり、「動きたいのに動けない」という負担が大きくなります。近年、医療の現場では薬物療法に加えて、リハビリテーション、栄養管理、在宅酸素療法など、総合的なケアが重視されています。その中で注目されているのが、鍼灸治療による症状緩和と生活の質の向上です。
■ 鍼灸がCOPDに役立つ理由
鍼灸は、筋肉や自律神経、循環などに働きかけ、呼吸のしやすさを整えることができます。研究や臨床経験から、以下のような効果が知られています
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① 息切れ(呼吸困難感)の軽減
COPD患者さんの多くは「息が吸いにくい」という感覚に悩まされています。鍼灸では、胸部・肩・背中の緊張を緩めることで、呼吸筋の働きが改善し、呼吸のしやすさが向上します。実際に「肩まわりが軽くなる」「呼吸が入りやすい」という声は多く、施術後すぐに変化を感じられる方もいます。
② 運動耐容能(動ける力)の向上
COPDでは、“動くとすぐに苦しい”ため、活動量が下がり筋力が弱くなりやすいという悪循環があります。鍼灸治療により呼吸が楽になると、少しずつ活動量が増やせ、動くための体力維持につながることが期待されます。
③ 気道の炎症を抑える可能性
近年の研究では、鍼灸が炎症性物質(サイトカイン)を調整する作用を持つ可能性が示されています。COPDは“慢性的な炎症の病気”であるため、炎症バランスが整うことで、症状悪化の予防や安定化に関与すると考えられています。
■ どのような方が鍼灸の対象になる?
COPDのステージや症状の程度に関わらず、以下のような方が鍼灸の適応です。
息切れが強く、日常生活で動くのがつらい
肩や背中のこりから呼吸が苦しく感じる
夜間や朝方に呼吸がしにくい
運動習慣を保ちたいが身体が重く感じる
在宅酸素療法(HOT)をしているが、もっと楽に生活したい
※当院では在宅酸素療法中の方でも施術可能です。以前より「鍼灸は受けられないのでは?」と心配される声がありますが、鼻カニューラをつけたまま施術できますのでご安心ください。
■ 実際の患者さんの声
「施術後は胸が広がったような感じがして呼吸が楽」
「動いたときの息切れが少しマシになった」
「夜よく眠れるようになって疲れにくくなった」
症状の程度は人によって異なりますが、定期的な鍼灸治療は、生活の質(QOL)向上に役立つと感じる方が多くいらっしゃいます。
■ COPDは“総合的なケア”が大切
鍼灸はCOPDの根本治療ではありません。しかし、以下のような他の治療と併用することで効果を発揮します。
薬物治療(吸入薬)
呼吸リハビリ
栄養管理
運動習慣
在宅酸素療法
当院では医療機関とも連携しながら、患者さんそれぞれの症状や生活背景に合わせた施術を提供しています。
■ まとめ
COPDの息切れや疲れやすさは、日常生活のあらゆる動作に影響します。鍼灸治療は、呼吸を助け、動ける身体を支えるための“もうひとつの選択肢”となり得ます。







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